世代を超えて繋ぎたい、加古川井上邸
(※2018 現在は私邸として非公開となっております)
〜 昭和16年の日本 〜
戦火、阪神淡路大震災も乗り越えた
お屋敷と庭園を現代に蘇らせるプロジェクト
日本の伝統芸術と和の空間を
次世代へ
穏やかな水流を持ち、播磨五川と称される加古川。
播磨平野を貫流するその河口、豊かな水源を湛えた地域にこの井上邸はあります。
海岸線には播磨臨海工業地帯を支える鉄鋼工場。
内陸部には繊維や建具などの地場産業が今もなお脈々と歴史を紡いでいます。
近くには、多くの国宝を有する鶴林寺。
播磨富士と呼ばれ愛されてきた美景地区の高御位山。
深い歴史と産業、そして四季折々の豊かな自然に囲まれたこの土地で、
洗練された日本美の感性がより一層研ぎ澄まされ、美しい水景と日本建築を生み出しました。
昭和16年建築。
戦火や、阪神淡路大震災も越えてきた、忘れてはならない歴史の爪痕も色濃く残し、
その壮大な敷地ゆえに、親族の方々の維持に関するご尽力は想像を超えるものがありました。
財団か、民間文化施設か…
検討を進めながら、維持管理のさまざまな策を模索しています。
想いはただひとつ。
「次の世代へ繋ぎたい」
2017年 4月。 空き家であった19年間の眠りから覚めた、井上邸。
屋敷も庭も後世へ向けて、前へ前へ、力強く生きようとしています。
今、
私たちに、できることとは。
■各コンテンツにおいて最新情報をお報せいたします
■7月 井上邸の活動紹介VTR「庭園の原風景」を作成。
「淡い灯」 作曲:前田舟山 演奏 ギター:津田秀夫 リコーダー:松山佳苗 尺八:前田舟山
2004年 収録 前田舟山作品集より
■5月27日 井上邸のお屋敷、庭園の紹介映像を作成。 (9分51秒) 制作:前田舟山 演奏:森田耕山・前田舟山
「古齢樹」 松に象徴される井上邸の風格をイメージして 尺八二重奏
「ささめゆき」 谷崎潤一郎著「細雪」より旧商家の文化に響く昭和の地唄。
井上邸が建築された昭和初期の風情を現在の映像とともにご鑑賞ください。
■2017年 4月29日
〜 追憶と目覚め 〜
「尺八と揮毫」
11時半。うららかな春の陽射しの下、お屋敷の玄関にてあたたかいお出迎えを受けました。するとこのお屋敷のご主人の娘さんが16年1月の康越の個展「手師の言祝ぎ」に、ご来場くださっていたことが分かり、私たちにとっては驚くべき「再会」であったという不思議なご縁を感じたのでした…
晶子さんによる、華やかで品のある見事なお華のお出迎えは、さらに感動的でした。
興奮冷めやらぬ昼食会と歓談のあと、奥のお座敷では尺八と書の支度が始まります。
すると19年もの間、静かにこの時を待っていたかのように、辺りは鎮まりかえり薄暗く。。
尺八の音が響き始めると同時に雷が鳴り響き始めたのです・・・!!
実はその尺八は、ご親族に伝わる大事なもの。
笛の音は見事に蘇り、家屋の隅々まで染み渡っていきました。
お屋敷の芯で行われた「尺八と揮毫」は、地鳴りのような雷と突然の雨を呼び、すべてを19年の眠りから目覚めさせる儀式のようで、その凄みを体感しました。
親族の方々から当時の想い出や経緯をお伺いしますと、関わった方々の和文化への芯ある想いと言動が溢れています。
康越の揮毫は、尺八の「春の海」に合わせて「萌芽」(ほうが)。
萌芽とは、この時期の草木の勢いのある芽吹きを指しますが、新しい物事が起こるきざし、という縁起良い意味も持ちます。
笛と書の周りにお屋敷のご親族が集まり会話を交わしているうちに空は瞬く間に青空を取り戻し、雨に濡れた日本庭園は明るく輝き始めました。まさに「萌芽」の光景でした。
まるで美術館のようなお屋敷には、先代、先先代の強い日本美へのこだわりが凝縮されています。
苦難の道は続きますが日本文化を守る場所として、康越としても風和としても、新しい芽吹きを迎え挑んでいきます。
みなさまのお力添えも、
より一層賜りますように 何卒お願い申し上げます。
「尺八と揮毫」
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携帯090−7103−2680 (志間) 現在は私邸として敷地内でのイベント等、非公開となっております。
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