加古川井上邸「尺八と揮毫」

 

 

 

11時半。

 

うららかな春の陽射しの下、お屋敷の玄関にてあたたかいお出迎えを受けました。するとこのお屋敷のご主人の娘さんが16年1月の康越の個展「手師の言祝ぎ」に、ご来場くださっていたことが分かり、私たちにとっては驚くべき「再会」であったことが分かり、ご縁で繋がる糸を感じたのでした…

 

晶子さんによる、華やかで品のある見事なお華のお出迎えは、さら感動的でした。

 

興奮冷めやらぬ昼食会と歓談のあと、奥のお座敷では尺八と書の支度が始まります。

すると19年もの間、静かにこの時を待っていたかのように、辺りは鎮まりかえり薄暗く。。

尺八の音が響き始めると同時に雷が鳴り響き始めたのです・・・!!

 

実はその尺八は、ご親族に伝わる大事なもの。

笛の音は見事に蘇り、家屋の隅々まで染み渡っていきました。

お屋敷の芯で行われた「尺八と揮毫」は、地鳴りのような雷と突然の雨を呼び、すべてを19年の眠りから目覚めさせる儀式のようで、その凄みを体感しました。

親族の方々から当時の想い出や経緯をお伺いしますと、関わった方々の和文化への芯ある想いと言動が溢れています。

 

康越の揮毫は、尺八の「春の海」に合わせて「萌芽」(ほうが)。

 

萌芽とは、この時期の草木の勢いのある芽吹きを指しますが、新しい物事が起こるきざし、という縁起良い意味も持ちます。

笛と書の周りにお屋敷のご親族が集まり会話を交わしているうちに空は瞬く間に青空を取り戻し、雨に濡れた日本庭園は明るく輝き始めました。まさに「萌芽」の光景でした。

 

まるで美術館のようなお屋敷には、先代、先先代の強い日本美へのこだわりが凝縮されています。

苦難の道は続きますが日本文化を守る場所として、康越としても風和としても、新しい芽吹きを迎え挑んでいきます。

 

 

 

 

 

みなさまのお力添えも、

 

より一層賜りますように 心からお願い申し上げます。